バイクや車を手放せば3年間無料に！その理由とは？
スペインのバルセロナでは、バイクや車を手放せば3年間バスや鉄道といった公共の交通機関の利用が無料になるという、驚くべき制度が導入されています。
にわかには信じがたい話ですが、そこにはバルセロナ地方をめぐる事情が深く関わっています。
日本でも観光都市として知られるバルセロナですが、この地では日本でも京都などで問題になっているやオーバーツーリズムへの対応が大きな問題となっているそうです。
加えて自動車の排気ガスによる健康被害、温室効果ガスによる地球温暖化など環境問題への関心もあって、バルセロナ市では自動車の規制が行われるようになっています。
2016年には市内の複数のブロックへの自動車乗り入れを禁止しており、歩行者を優先するまちづくりが推進されています。
公共の交通機関の利用が3年間無料になる制度も、そんなバルセロナ市の取り組みの一環なのです。
自動車の乗り入れを規制するだけでは十分な効果は期待できない、いっそのこと市民が自動車に乗らない環境を作ってしまおう、ということなのでしょう。
このような制度を可能にしているのが、バルセロナ市内に張り巡らさせた公共の交通網です。
同市では鉄道、バスのネットワークが充実しており、しかも深夜運行も行われているので、その気になれば車を使わずとも公共の交通機関だけで移動・生活することも十分可能なのです。
その公共の交通機関の利用料金を一定期間無料にする恩恵を提供することによって、「脱クルマ」を推進しようということなのでしょう。
公共の交通機関を無料で利用できる人が増えれば、財政状態に負担がかかるのでは？との疑問もよぎりますが、自動車を減らすことで道路の修繕費などを節約することができるので、財政面でもメリットが大きいとも言われています。
この制度の条件を満たすには？
この制度を利用するためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
まずバルセロナ市の周辺36市町村に住んでいることと、そのうえで申請前の6ヶ月以内にクルマを手放していることが求められます。
「5年前に手放したから無料にしてくれ」というわけにはいかず、あくまでこの制度のためにクルマを処分していることが条件となるのです。
ちなみにこの制度の適用を受けた後にすぐに新車を購入する、といったインチキもできず、もしこうした行為が露見した場合にはすぐにクルマを手放さなければなりません。
日本でも、都市圏では車の渋滞や交通量の増加がもたらす環境・健康被害が深刻になっています。
その意味で、このバルセロナ市の取り組みは非常に魅力的かつ羨ましいものに映ります。
日本で同様の制度を導入するのは財政的に難しそうですが、参考にする面は多々あるのではないでしょうか。